たった一試合で、カネロ・アルバレスを巡る見方は変わった。

35歳のアルバレスは、5月3日にサウジアラビア・リヤドのANBアリーナでウィリアム・スクールに勝利する方法を見つけたものの、動きは鈍く、パワーも感じられず、距離を詰める術を忘れてしまったかのように見えた。

今週末のテレンス・クロフォード戦では体重面での優位を享受することになるが、スクール戦での精彩を欠いたパフォーマンスは、少なくともある程度は物語を変えてしまった。

アルバレス（63勝2敗2分、39KO）は依然としてブックメーカーからわずかに有利と見られているが、あの僅差の判定勝ちを理由に疑問を呈する声もある。しかしアンドレ・ウォードは、それを受け入れていない。

「カネロ・アルバレスが前回の試合のような姿でこの男［テレンス・クロフォード］と戦うと思っているなら、それは大きな間違いだ」ウォードはクリス・マニックスに語った。

あと数日後の9月13日、ウォードはアレジアント・スタジアムで行われる両者の対決をリングサイドで解説する予定だ。この試合はNetflixで世界配信され、アルバレスの保持するRing、IBF、WBA、WBC、WBOの168ポンド王座が懸けられる。

階級を上げることについて熟知しているウォードは、アルバレスが猫と鼠の追いかけっこのような試合運びをしていたと考えている。スクール戦の前には、すでにクロフォード（41勝0敗、31KO）との対戦が決まっていた。アルバレスに必要だったのは勝利することだけだった。

ゴングが鳴る前、昨年8月にイスラエル・マドリモフを下してWBA154ポンド王座を獲得したクロフォードはリングサイドの席に座り、アルバレスを注意深く見守っていた。メキシコのスターが勝つ方法を見つけることを望んでいたが、各ラウンドが僅差だったため確信は持てなかった。

勝利が公式に発表されると、ネブラスカ州オマハ出身のクロフォードはリングに上がり、フェイスオフに臨んだ。ウォードの見方では、すべてが計算されていた。アルバレスは大一番が控えていることを理解しており、次の対戦相手の前で自らのすべての手の内を見せたくなかっただけなのだ。

「お前がリングサイドにいるのは分かっている」クロフォードが見守る中でのスクール戦におけるアルバレスの思考を説明しながら、ウォードは続けた。「接戦なのも分かっている。だが勝つには十分なことをやる。そして9月13日に会おう」