ロンドン――
クリス・ユーバンク・ジュニアと
コナー・ベンが初めて対戦した4月、モアカム出身の21歳のアマチュアボクサー、アレックス・マクミランは他の観客たちと同じようにトッテナム・ホットスパー・スタジアムの観客席に座っていた。
それから6か月後、彼はユーバンクの
宿敵再戦(11月の土曜日)に向けた主要スパーリングパートナーの一人となり、現在はマクギガン・ジムでジョシュ・プリチャードの指導を受けている――きっかけは、たった一通のインスタグラムDMであった。
「ある日、ジョシュにメッセージを送ったんだ」とマクミランは『ザ・リング』誌に語った。「最後のアマチュアの試合が終わった後、『よし、次はプロになる』って決めた。プロとのスパーリングを経験したかっただけなんだ。それで連絡したら、彼が返信をくれて日程を決めてくれた。」
すべてが順調に進むかと思いきや、モアカムからロンドン東部までの約250マイルの道のりは、すぐにトラブルに見舞われた。
「その日の朝5時に出発したんだ」とマクミランは振り返る。「スパーリングは11時開始の予定だった。でも出発して2時間くらい、バーミンガムあたりで『バン!』って音がしてタイヤがパンクした。路肩に停めて救援を呼んで、修理工場に運んでもらったら、『3時間はかかる』って言われた。でもスパーリングを逃したくなかったから、彼女と一緒に車を置いて電車で向かうことにしたんだ。」
「結局2時間遅れで着いたけど、みんなもう帰っただろうと思ってた。でもジョシュはまだ残っていてくれて、急いで支度して、そのまま冷えた体でリングに入った。エネルギー不足だったけど、怖さはまったくなかった。『ここまで来たんだから、絶対にやってやる』って思って、全力でやった。」
そのスパーリングでマクミランは、リー・カトラーやジョン・ジョー・キャリガンといったプロのスーパーウェルター級選手を相手に堂々と渡り合い、そのパフォーマンスが評価され、マクギガン・ジム所属のプロ転向を正式に打診された。
「シェーンとジョシュは僕を見て『この若いのは誰だ?』って思ってたらしい」とマクミランは語る。「数週間後にまた呼ばれてスパーリングして、その後はジョシュのもとでトレーニングも少しやった。プロになりたいって話したら、そこからすべてが動き出したんだ。」
「車のことを話したら、シェーンが『それがキャリアの分岐点だったかもしれないな』って言ったんだ。もしあのとき修理が終わるまで待ってたら、このチャンスはなかったかもしれない。結局、車は3週間くらい置きっぱなしにして、あとで取りに戻ったよ。」
数か月が経ち、マクミランはジムの中でもすっかり人気者になっている。ジムには
キャロライン・デュボアや
エリー・スコトニーといった世界王者、そして元WBOクルーザー級王者の
クリス・ビラム=スミスらが在籍しており、若き挑戦者にとっては理想的な環境である。
マクミランは11月29日にブラックプール・ウィンター・ガーデンズでプロデビュー戦を迎える予定だが、その前にドバイ遠征が新たな挑戦の舞台となった。
「日曜の朝、朝食を食べてたらジョシュから電話が来たんだ」とマクミランは語る。「『ドバイに10日間行って、ユーバンクJr.のスパーリングをやってみないか?』って言われた。最初は冗談だと思ったけど、本当だった。気づいたらドバイで彼とスパーリングの準備をしてた。最高の経験だったよ。」
ドバイでのセッションの後、ユーバンクはロンドンでの最終調整にもマクミランを招いた。実際、キャンプ最後のスパーリングでユーバンクの向かいに立っていたのは、このモアカム出身のウェルター級選手だった。
「ユーバンクみたいな選手のそばにいられるのは、キャリア初期の僕にとって本当に貴重なんだ」とマクミランは語る。「彼とスパーして、体格の大きい相手に対して自分が通用するって証明できたのが一番大きい。彼を初めて見たときは『うわ、ユーバンクだ』って思ったよ。4月にトッテナムでベンを倒した試合を観客として見てたのに、今はドバイで本人とスパーしてるなんて信じられない。」
「でもリングに上がった瞬間にスイッチが入って、戦闘モードになった。いいラウンドをたくさんこなして、たくさんの経験を積めた。ユーバンクからは色々なアドバイスももらったよ――プレッシャーのかけ方も、ボディショットもいいって褒めてくれたけど、『ディフェンスをもっと締めろ』って言われた。それを本人から直接聞けたのは本当に嬉しかったし、自信にもつながった。」
では、“ザ・ヴィラン(悪役)”ことアレックス・マクミランの今後の目標とは何か。彼がイギリス有数の名門ジムにDMを送った時点で、その野心は明白だった。
「まずは英国王者になるのが夢なんだ」とマクミランは語る。「それは叔父のアンドリューのためでもある。彼もアマチュアボクサーだったけど、病気で夢を絶たれてしまった。だから僕がその続きを果たしたいんだ。それから名前を広めて、階級を上げて、複数階級の統一世界王者になりたい。絶対に頂点まで行くし、ボクシング界で大きな名前になるって信じてる。」
「今、まさに夢の中に生きている感じだ。チャンピオンたちの中で練習することが、さらに自分を高めてくれる。『6人のチャンピオンに囲まれてるなら、自分が7人目になる』っていうのが僕の考えなんだ。ここに来るまでにいろんなことがあったけど、その経験のおかげで“何でも可能だ”って思えるようになった。」