アブドラ・メイソンに「順番を待て」なんて言わないほうがいい。
ボクシングの世界では、順番を飛ばしてチャンスを掴むことはめったにない。もちろん、例外はある。ワシル・ロマチェンコはプロ2戦目で世界タイトルに挑み、3戦目でベルトを獲得。井上尚弥もプロ6戦目で王座を手にしている。 すでに16戦のキャリアを持つメイソンは、そういった超特急コースには乗っていない。しかし、もし陣営が少しペースを上げてくれるなら、本人としては大歓迎だ。
今週金曜の夜、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン内のシアターで、メイソンはマヌエル・ハイメスと対戦する。戦績的には一段上の相手かもしれないが、メイソンはそれ以上を望んでいる。
現在、メイソン(16勝0敗、14KO)が所属する階級には、世界でも屈指の有名選手たちがひしめいている。そしてその頂点にいるのが、シャクール・スティーブンソンとジャーボンテイ・デービスだ。
メイソンとそのどちらかとの対戦を夢見るのは、現時点ではやや非現実的に思える。ランキング的にも、経験値の面でも、まだ現実的とは言い難い。とはいえ、ランキングが低いことが理由でスティーブンソンやデービスとの対戦が実現しないのであれば、それはそれで仕方ない。しかし、経験とスキルに関しては、メイソン自身はすでに十分すぎるほど準備ができていると信じている。
「あの2人が相手でも、自分ならしっかり勝てると思ってる」とメイソンは「ザ・リング・マガジン」に語った。
皮肉なことに、メイソンが2人を追いかけ続ける一方で、シャクール・スティーブンソンとジャーボンテイ・デービスはまるで正面衝突に向かっているかのような状況だ。スティーブンソン(22勝0敗、10KO)はまず2月22日にフロイド・スコフィールドとの一戦を控えており、デービス(30勝0敗、28KO)はその1週間後にラモン・ローチとの対戦が予定されている。
メイソンのターゲットリストには、スティーブンソンやデービスだけでなく、キーショーン・デービス、アンディ・クルス、ワシル・ロマチェンコ、レイモンド・ムラタラといった名前も並んでいる。ただし、まずは目の前の仕事を片付けることが最優先だ。しっかり勝利を収めれば、メイソンは「自分の時代はもう始まっていいはずだ」と信じている。
「誰が相手でもリングに上がる覚悟はできてる」